2012年8月27日月曜日

アメリカの精神分析 2(近代~)

◆◆◆アメリカを支配する「タブー」

 このヨーロッパ人の対外拡大の流れが先鋭化した結果、誕生した国家がアメリカです。
 スペイン人など最初にアメリカ大陸に植民したヨーロッパ人達は、まず、先住民族を根絶やしにかかります。文字通りの殺戮と領土の略奪の結果、数千万人から1億人もの先住民族が、10分の1にまで減ったと言われます。南米に残る無数の遺跡は、自然が風化させたのではなく、ヨーロッパ人の破壊の結果、残されたものです。

 この破壊は、アメリカという国家が存立した後々も続いていきます。一つは、ネイティブ・アメリカンへの迫害であり、一つは、アフリカ大陸を中心とした奴隷狩りです。

 アメリカの広い国土はすべて他民族のものを暴力と謀略で奪い取ったものです。 
 そして、繁栄は、膨大な奴隷を極限まで酷使することによって獲得した基盤の上に築かれました。奇妙なまでに、この歴史はかつてのローマの繁栄の構造に相似です。

 アメリカが、他国に対して執拗に「民主主義」や「自由」を主張する、心理的背景には、この自らの犯した体験に対する強迫的な「タブー」、「後ろ暗さ」、周囲からの「白眼視」が存在します。

 そのため、アメリカは、実情とはかけ離れた強引な民主化、自由化を、たとえそれが他者の迷惑であっても、強制しなければならない精神構造にあります。民衆が支持しない、忘れ去られた王族や、反動勢力を援助し、形だけの民主制、傀儡政権を樹立するのは、アメリカの常道です。
 アメリカ人の国家的歴史性には、民主主義の美しい理想とは、あまりにかけ離れた抑圧と支配、自由とはほど遠い搾取の構造が刻まれているのです。

阪本剛

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